スモークチップが欲しくなり検索したはいいものの、種類が多すぎて購入するチップを決めきれなかった、という方は少なくないはず。
本記事では、日本で最もメジャーなサクラをはじめ、ヒッコリー・リンゴ・クルミ・ナラ・ブナ・ウイスキーオークの7種のスモークチップの特徴や、相性の良い食材をていねいに解説します。
記事後半では、マイナーな9種のスモークチップもご紹介していますので、
- メジャーなスモークチップの特徴が知りたい!
- 初心者におすすめのスモークチップは?
- ニッチなスモークチップに興味がある
という方は、ぜひ最後までご覧ください。
燻製で使うスモークチップとは?
まずは、スモークチップがどのようなものなのかを改めてご紹介します。
スモークチップは細かな燻煙材
スモークチップは、木材を細かく砕いて作られた燻煙材のことです。
煙をまとわせないことには燻製づくりは始まりませんので、燻煙材は燻製づくりにおいて必要不可欠な道具といえます。
なお、スモークチップはフレーク状に粉砕されているものが一般的ですが、なかには粒状やおがくず状のものもあります。
スモークチップの使い方
スモークチップは、間接的に温めることによって発煙させます。
直接着火するとすぐに燃え尽きてしまいますので、スモークチップは受け皿や燻製器の底に置き、電熱コンロやガスコンロなどの熱源で間接的に熱を加え、発煙させます。
スモークウッドとの違い
スモークウッドは、スモークチップとともに知られる代表的な燻煙材です。
大まかな違いは、形状・燃焼時間・使い方にあります。
形状 | 燃焼時間 | 使い方 | |
スモークチップ | フレーク状 | 短時間 | 間接的に発煙 |
スモークウッド | ブロック状 | 長時間 | 直接着火 |
スモークチップとスモークウッドの違いをより詳しく知りたい方は、下記記事をぜひチェックしてみてください。
燻製のスモークチップは何種類ある?
市販のスモークチップにはサクラ・リンゴなどの木材の種類が書かれていますが、全部でどのくらいの種類のスモークチップがあるのでしょうか。
スモークチップの種類は無限!
どんな木材でも、細かく砕けばそれはスモークチップです。
つまり、スモークチップは、木材の数だけ作ることができるのです。
複数の木材を混ぜたスモークチップが「ブレンドチップ」として販売されていることを考えれば、スモークチップの種類は実質無限といえます。
日本でよく使われているスモークチップ
スモークチップは木材の数だけ作ることができますが、購入できるスモークチップは限られています。
下記は、日本でよく使われるスモークチップ・7種類です。
- サクラ
- ヒッコリー
- リンゴ
- クルミ
- ナラ
- ブナ
- ウイスキーオーク
※ブレンドは各メーカーによって特徴が異なりますので、当サイトでは1種類として扱いません。
大手メーカーであれば、基本的にこの7種類のスモークチップは販売しているはずです。
次項からは、今ご紹介したスモークチップの特徴や相性の良い食材を、ていねいに解説していきます。
初心者におすすめのスモークチップ2選
初めて燻製づくりをする方に当サイトがおすすめするスモークチップは、サクラとヒッコリーの2種類です。
サクラチップ・ヒッコリーチップのそれぞれの特徴と、相性が良いとされる食材をご紹介します。
サクラ
サクラのスモークチップの特徴・香り
サクラチップは日本で最もポピュラーとされるチップで、しっかりとした香りと色づきが特徴です。
桜の花のふんわりとした優しいイメージからは想像がつかないような、どっしりとした薫香を感じることができます。
燻した後は見た目・香りがわかりやすく変わるので、燻製初心者の方であっても「上手に燻製ができた!」と感じられるような燻製を作ることができるはずです。
サクラのスモークチップと相性の良い食材
サクラチップは、豚肉や青魚など、クセの強い食材と相性がよいとされていますが、基本的には食材を選ばず燻すことができます。
香りがハッキリとしているので、味の濃い食材であっても、負けない薫香をつけることができるでしょう。
さまざまな食材を一度に燻す時にも役立つ、万能なチップです。
ヒッコリー
ヒッコリーのスモークチップの特徴・香り
ヒッコリーチップはアメリカで最もポピュラーなチップで、サクラチップ同様、しっかりとした香りと色づきが特徴です。
ヒッコリーは、北アメリカが主な原産国であるクルミ科の樹木。
馴染みの深さでいえばサクラチップに劣りますが、香りのクセが少ないため、比較的日本人にも受け入れられやすいチップとされています。
また、材質が硬く、簡単に発煙できるため、失敗が少なくなるという点でも初心者向きのチップといえるでしょう。
ヒッコリーのスモークチップと相性の良い食材
アメリカではバーベキューの際によく使われるヒッコリーですが、比較的どんな食材にも合うとされています。
特に、ハムやベーコン、チーズなど、しっかりと味がついているのにクセは少ない、といった特徴のある食材はヒッコリーチップと相性抜群です。
渋みと酸味は多少ありますが、ほどよい強さの薫香がつけられるので、「サクラチップだと香りがキツすぎる……」と感じる方にぜひおすすめしたいチップです。
初級〜中級者向けにおすすめのスモークチップ5選
少しずつ燻製づくりに慣れてきた方におすすめしたいのが、リンゴ・クルミ・ナラ・ブナ・ウイスキーオークの5種のチップです。
それぞれの特徴と、相性が良いとされる食材をみていきましょう。
リンゴ
リンゴのスモークチップの特徴・香り
リンゴチップは、フルーティーな甘い香りにほのかな酸味が特徴です。
果樹のような上品で柔らかい香りをまとった仕上がりになるため、繊細な燻製づくりに向いています。
色づきはそこまで強くありません。
リンゴのスモークチップと相性の良い食材
リンゴチップは、鶏肉や白身魚などの淡白な味の食材や、ナッツ類と相性が良いとされています。
いつもの燻製に少し華やかな風味を増したい、という時に使うのがおすすめです。
クルミ
クルミのスモークチップの特徴・香り
クルミチップは、クセの少ないスッキリとした香りが特徴です。
同じクルミ科のヒッコリーと比較すると、クルミの方が香り・色づきともに弱くなることが多いのですが、その分控えめで上品な仕上がりになります。
ヒッコリーの香りが好きな方は、燻製づくりに慣れてきた頃にクルミと燻し比べをしてみるのも良いかもしれません。
クルミのスモークチップと相性の良い食材
クルミは香りのクセが少ない万能型のスモークチップですので、肉や魚介など、基本的にどんな食材にも合います。
なかでも、カマンベールチーズをはじめとしたチーズは相性抜群とされており、ネットや書籍のレシピでもクルミチップがよく使われています。
ナラ
ナラのスモークチップの特徴・香り
ナラのスモークチップは、色づきが良く、クセのない優しい香りのなかに感じられる渋みが特徴です。
色づきが良いため、他のチップよりも短い時間できれいな飴色に仕上げることが可能ですが、燻しすぎると渋みが強くなるため、燻し終えるタイミングには注意が必要です。
ナラのスモークチップと相性の良い食材
ナラのスモークチップは、魚をはじめ、牡蠣・ホタテ・たらこなどの魚介類、チーズなどと相性が良いとされています。
ブナ
ブナのスモークチップの特徴・香り
ブナのスモークチップはナラ同様、すっきりとした控えめな香りのなかに、ほどよい渋みがあるのが特徴です。
ブナのスモークチップの特徴がナラと似ているのは、同じブナ科の樹木であるため。
ちなみに、ブナはヨーロッパ圏では主流のスモークチップとなっています。
ブナのスモークチップと相性の良い食材
ブナのスモークチップは、本場ヨーロッパでは牛・豚、ベーコン・ウインナーなどの肉類に多く使われますが、日本ではナラ同様、魚介類やチーズとの相性が良いとされています。
さまざまな文献やネット記事で調べましたが、ナラ・ブナの大きな違いを見つけることはできませんでしたので、燻し比べた際は改めて別記事でご紹介します!
ウイスキーオーク
ウイスキーオークのスモークチップの特徴・香り
ウイスキーオークとは、ウイスキー樽として役目を終えたオーク材を粉砕して作られたスモークチップのことです。
最大の特徴は、なんと言ってもウイスキーのもつ甘い芳醇な香りを食材にまとわせられることでしょう。
また、そこまで強くありませんが、独特の渋みや酸味もあります。
なお、ウイスキーオークはいくつかの別称があり、ウイスキー樽によく使われる木材の「ホワイトオーク」や、ウイスキー樽を意味する「ウイスキーバレル」として販売しているメーカーもあります。
ウイスキーオークのスモークチップと相性の良い食材
ウイスキーオークは他のチップよりも豊かな香りに仕上がるため、鶏肉や白身魚など、淡白な食材と合わせるのがおすすめです。
定番のスモークチップに少しだけ加え、オリジナルブレンドのチップを作って燻すのも、ウイスキーオークならではの使い方です。
7種のスモークチップの比較表
ご紹介した7種のスモークチップの特徴をまとめました。
香り | 色づき | 特におすすめの食材 | |
サクラ | どっしりとした強めの香り | ◎ | 豚肉・青魚などクセの強い食材 |
ヒッコリー | クセの少ない香り | ◯ | ハム・ベーコン・チーズ |
リンゴ | フルーティーな甘い香りにほのかな酸味 | △ | 鶏肉・白身魚・ナッツ |
クルミ | クセの少ないスッキリとした香り | △ | カマンベールチーズ |
ナラ | クセのない優しい香りのなかに感じられる渋み | ◎ | 魚介類全般 |
ブナ | すっきりとした控えめな香りのなかに、ほどよい渋み | ◎ | 魚介類全般 |
ウイスキーオーク | ウイスキーのもつ甘い芳醇な香り、独特の渋みや酸味 | ◯ | 鶏肉・白身魚 |
燻製づくりの際に、ぜひ参考にしてみてください。
レア度の高いスモークチップ
「スモークチップは木材の数だけ作ることができる」と冒頭でご紹介したように、スモークチップの種類は多岐にわたります。
これまでご紹介した7種のスモークチップは国内ではメジャーなものですが、下記のようなマイナーなスモークチップもあります。
- ヒノキ
- メイプル(カエデ)
- チェリー
- ピーチ
- ミカン
- ブドウ
- バーボンオーク
- ハンノキ(アルダー)
- メスキート
ピーチ・メイプルあたりのスモークチップは、想像通り、やや甘めな香りが立ちこめるそうです。
ただ、スモークチップとして使われている情報があるとはいえ、国内ではマイナーなスモークチップに変わりありませんので、簡単に入手できないことは覚えておきましょう。
スモークチップの種類を変えて燻製を楽しもう!
さまざまなスモークチップの種類や特徴をご紹介しましたが、初心者の方であれば、まずはサクラかヒッコリーのスモークチップから燻製づくりをスタートさせるのがおすすめです。
燻製づくりに慣れてきた頃に、リンゴ・クルミ・ナラ・ブナ・ウイスキーオークなどのスモークチップを使えば、また一段と燻製づくりが楽しくなることでしょう。
とはいえ、これはあくまで私の主観や一般的な見解に過ぎません。
ハチミツやタバコの好みが千差万別なように、スモークチップごとの香り・色づきにも必ず好みはありますので、気になるチップがあればぜひいろいろな食材で燻してみてくださいね。
ちなみに、本記事の中の人が運営する燻製屋猫松の商品は、サクラチップ100%で作っています。
「燻しあがりの香りや味が気になる」という方はぜひ、燻製屋猫松のオンラインショップから、ご注文をお待ちしております!
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