燻製づくりには、煙のもととなる燻煙材が必要不可欠です。
なかでも有名なのは、スモークウッドとスモークチップでしょう。
しかし、スモークウッドとスモークチップではどのような違いがあるのかがわからないという方も多いはず。
本記事では、スモークウッドとスモークチップの特徴や違い、それぞれの燻煙材の使い方をていねいに解説します。
後半では、初心者におすすめなのはスモークウッド・スモークチップのどちらなのかを、理由とあわせてご紹介していますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
スモークウッドとスモークチップの違い
スモークウッドとスモークチップの違いは、大きくわけて下記の3つです。
- 形状
- 使い方
- 燃焼時間
それぞれの特徴や使い方を、順にみていきましょう。
燻製のスモークウッドとは?
まずは、スモークウッドの特徴や使い方から解説します。
スモークウッドはブロック状の燻煙材
スモークウッドは、粉末にした木材を圧縮し、板材のような棒状やブロック状に固めた燻煙材のことです。
厚みは3cm〜5cm程度、幅は5cm程度が一般的ですが、長さはメーカーによって異なります。
ただ、10cmほどをミニサイズ、30cmほどをロングサイズとして販売しているメーカーが多いです。
なお、ロングサイズのスモークウッドのなかには、小分けにして使えるよう3〜4つの切れ込みが入っているものもあります。
スモークウッドの価格・値段
スモークウッド1本の価格は、ミニサイズで200円〜300円前後、ロングサイズで400円〜500円前後が相場です。(2024年6月現在)
スモークウッドの使い方
スモークウッドの使い方は、ガスバーナーなどでスモークウッドに直接火をつけ、燻製器の庫内に置くだけです。
火をつけるタイミングは、燻製器庫内に食材、網、アルミ皿や調理用バットなどの受け皿をセットした後。
スモークウッドの下の受け皿は必須ではありませんが、燻製器の焦げつき防止になったり、後片付けがスムーズに進められたりするといった理由から、受け皿を設置する方が大半です。
スモークウッドの燃焼時間は長時間
スモークウッドの燃焼時間は、1本1時間半〜5時間程度です。
燃焼時間の細かな調節は、スモークウッドを切り分けたり、繋げ合わせたりして行います。
大半のスモークウッドは商品ラベルに燃焼時間が記載されているはずですので、燻したい時間に合わせて、スモークウッドのサイズや数を検討してみてくださいね。
燻製のスモークチップとは?
続いて、スモークチップの特徴・使い方をみていきましょう。
スモークチップはフレーク状の燻煙材
スモークチップは、木材を粉砕したフレーク状の燻煙材のことです。
形状はグラノーラほどのサイズに粉砕されているものが一般的ですが、なかにはチェーンソーでカットした際に出るおがくずや、おがくずの粉をスモークチップとして販売しているメーカーもあります。
スモークチップの価格・値段
スモークチップの価格は、安いもので100g・200円程度、500g・400円〜500円程度で売られています。(2024年6月現在)
なお、小さい燻製器で10分程度燻す場合に使うスモークチップは10gから多くても20g(手で1掴み〜2掴み)ほどですので、1回燻すのにかかるスモークチップの値段は数十円程度ということになります。
スモークチップの使い方
スモークチップは間接的に発煙させる必要があるため、スモークウッドよりも使い方が少しだけ複雑です。
「スモークチップに火をつけて発煙させても良いのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、直接火をつけたスモークチップはすぐに燃え切ってしまいます。
そのため、受け皿の上にスモークチップを盛り、電気コンロやカセットコンロなどの熱源で受け皿を温めることで、間接的にチップを発煙させるのです。
スモークウッドは直接着火、スモークチップはチップを間接的に温めて発煙させるということは覚えておきましょう。
スモークチップの燃焼時間は短時間
先ほど軽く述べた通り、スモークチップは燃えやすいため、量が少なければ一瞬で燃え尽きてしまいます。
しかしそれは、発煙しやすい、量を調整しやすいと言い換えることもできます。
ですので、5分〜10分などの短時間でさっと香りづけ程度に燻す熱燻や、食材の様子を見ながらスモークチップを継ぎ足して作る温燻と相性のよい燻煙材とされています。
スモークウッドとスモークチップのおすすめの選び方
スモークウッドとスモークチップの違いはわかったけれど、結局どちらの燻煙材を使えばよいのかがわからないという方も少なくないことでしょう。
そんな方のために、スモークウッドとスモークチップを使い分ける判断材料を4つご紹介します。燻製づくりの参考にしてみてください。
燻製の方法から選ぶ
まずはじめにご紹介するのは、燻製の作り方によって、スモークウッド・スモークチップを選択する方法です。
燻製には熱燻・温燻・冷燻という3つの作り方があり、各燻製法で使われる燻煙材は下記が基本とされています。
- 熱燻:スモークチップ
- 温燻:スモークチップ・スモークウッド
- 冷燻:スモークウッド
使う燻煙材や燃焼時間についてはほとんどのレシピ本・レシピサイトで記載があるはずですので、まずはレシピ通りに燻製を作ってみるのがよいでしょう。
ちなみに、温燻をスモークチップ・スモークウッドのどちらで作るかは好みによるところが大きいのですが、上級者はスモークチップが多数派の印象です。
熱燻・温燻・冷燻について詳しく知りたい方は、下記からぜひチェックしてみてください。
燃焼時間から選ぶ
食材を燻す時間によって、スモークウッドとスモークチップを使い分けるのもひとつの手です。
燻煙材の燃焼時間は長ければ長いほど、食材のなかまで燻製の風味が浸透しやすくなります。
つまり、大きい食材を燻す場合や、内部までしっかりと燻製の風味をつけたい場合にはスモークウッドがおすすめです。
反対に、香りをさっとまとわせるで十分な場合や、燃焼時間を微調整したい場合にはスモークチップを選ぶのがよいでしょう。
値段・価格から選ぶ
そこまで大きな差はありませんが、値段からスモークウッド・スモークチップのどちらにするかを選ぶ方法もあります。
初期投資の安さや使い続けるためのコスパでいえば、スモークチップに軍配があがります。
ただ、近年のキャンプブームを受けて、最近ではダイソーでもスモークウッド・スモークチップを買うことができるようになりました。
スモークウッドの値段をネックに感じていた方は、お近くのダイソーを覗いてみてはいかがでしょうか。
木材の種類(香り)から選ぶ
消去法的な考え方ではありますが、木材の種類からスモークウッドとスモークチップを選ぶ方法もあります。
スモークウッド・スモークチップは、花によって味が変わるハチミツのように、原料によって香りや色味が異なります。
つまり、サクラやヒッコリーなど万人に好まれる燻煙材は簡単に入手できますが、マイナーな木材はスモークチップしか販売されていなかったり、そもそも日本では入手できなかったりすることもあるのです。
店頭では限られた種類の燻煙材しか置かれていないことも多々ありますので、「気になる木材はスモークウッドしか売られてない」などがありえることは、頭に入れておきましょう。
初めての燻製はスモークウッド?スモークチップ?
初めての燻製づくりでどちらの燻煙材を買おうかと迷っている方もいるはずですが、当ブログの運営者・燻製屋猫松としては、断然スモークチップをおすすめします。
スモークチップをおすすめする理由
スモークチップをおすすめする理由は、初回でも燻製が食べられる確率が高いからです。
「火をつけたら放置していても完成するスモークウッドの方が、初心者向きなのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、スモークウッドは実は扱いが難しい燻煙材なのです。
スモークウッドがおすすめできない理由
スモークウッドを使ったよくある失敗は、なんといっても着火ミスです。
発煙を確認して燻製器にセットしたものの、はじめの数分で火は消えており、食材をただ燻製器のなかで放置していただけだったというのは、初心者の方からよく耳にする失敗談です。
また、燻製器庫内の温度は外気温に左右されやすいため、スモークウッド1つに火をつけて放置、のようなやり方では再現性が低くなります。
その点、スモークチップは熱源さえあれば確実に着火できることにくわえ、燻製器庫内の温度も熱源の火力やチップの増減によってある程度調整することが可能です。
せっかく初めて燻製を作るのであれば、完成度よりもまずは「食べたい!」の気持ちが強いと思いますので、まずはスモークチップを使った熱燻からスタートして、徐々に難易度をあげていくのがおすすめです。
スモークウッドとスモークチップを上手に使い分けよう!
スモークウッドとスモークチップはどちらも燻製づくりには欠かせない燻煙材ですが、見た目や燃焼時間など、特徴は想像以上に異なります。
なかでも使い方は、スモークウッドは直接着火、スモークチップは間接的に着火するという対極ともいえるものです。
スモークウッドとスモークチップはそれぞれに違った良さがありますので、特徴や違いをしっかりと理解したうえで、特徴に合わせた燻製づくりにチャレンジしてみてくださいね。
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