燻製の熱燻・温燻・冷燻とは?燻す温度や仕上がりの違いを紹介

美味しそうな燻製品 燻製の基礎知識
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料理に焼く・煮る・揚げるなどの調理法があるのと同じように、燻製にも調理法があります。

それが、熱燻・温燻・冷燻です。

燻製は、煙をあてるだけで美味しくなりそうなものですが、正しく調理をしなければ、美味しいものを作ることはおろか、食べられないものを作ってしまうことも。

燻製を作り始める前に、燻製の3つの調理法である熱燻・温燻・冷燻、それぞれの作り方や仕上がりの違いをおさえ、美味しい燻製を目指しましょう。

燻製の熱燻・温燻・冷燻とは?

熱燻・温燻・冷燻とは、燻製の調理法をさす言葉です。それぞれ、熱燻(ねっくん)・温燻(おんくん)・冷燻(れいくん)と読みます。

燻し方は、おおよそ漢字のイメージ通りです。

高温で燻すのが熱燻、温かい状態を保ちながら燻すのが温燻、冷たい状態で燻すのが冷燻と覚えておきましょう。

次項からは熱燻・温燻・冷燻、それぞれの違いについて詳しくご紹介します。

熱燻(ねっくん)とは?

美味しそうな燻製品

熱燻は、80℃〜140℃ほどの温度で、5分〜1時間ほど燻す燻製方法です。短時間で仕上がるので、初めての燻製作りに選ばれやすい燻製方法です。

熱燻の仕上がり

高温でさっと燻された食材は、水分が飛びすぎず、ジューシーな仕上がりになります。

短時間で燻しあげるため、食材の表面にのみ、煙の風味や香ばしさがまとわれるイメージです。

寿司ネタで人気な炙りサーモン・炙りしめ鯖や、焦がしキャラメルなどをイメージすれば、熱燻後の風味がイメージしやすいかもしれません。

熱燻で作った燻製品の保存期間

熱燻で作った燻製品は保存には不向きですので、当日〜翌日までには食べる、くらいに考えておいた方が無難です。

食品の保存期間は、水分量に比例するといっても過言ではありません。

熱燻の燻製品は、燻製前と水分量がほとんど変わらず多いままなので、「煙によって保存期間が伸びただろう」と油断せず、早めに食べ切りましょう。

温燻(おんくん)とは?

燻製中の画像

温燻は、30℃〜80℃ほどの中温で、1時間〜数時間ほど燻す燻製方法です。燻製といえば一般的に温燻をさす、といわれるほど、燻製業界ではメジャーな燻製方法です。

温燻の特徴・仕上がり

温燻は、中温でじっくりと燻す調理法です。

温燻中、食材の水分が適度に抜けていくため、噛めば噛むほど味が出るような仕上がりになります。

煙が食材の内部に到達するため、熱燻よりも風味に奥行きを感じることができるでしょう。

温燻で作った燻製品の保存期間

温燻で燻した燻製品は、数日〜1週間程度は楽しめます。時間をかけて燻すことで、食材の水分が抜け、保存期間は長くなるのです。

ただし、燻煙後も食材の水分量は半分近く残りますので、美味しそうなうちに食べ切ってしまうのがおすすめです。

冷燻(れいくん)とは?

スモークサーモン

冷燻は、食材が凍らない30℃以下の低温で、数時間〜数週間ほど燻す燻製方法です。一般的に、庫内を15℃〜30℃に保つのが目安とされています。

熱した木材からあがった煙を、適切な温度に保ちながら燻煙し続けなければならないため、上級者向けの燻製方法とされています。

冷燻の特徴・仕上がり

仕上がりは、冷燻の代表的な燻製品であるスモークサーモンや生ハムをイメージすればわかりやすいでしょう。

食感はしっとり・ねっとりとしたものになり、口に入れた瞬間、そして噛んだ瞬間にもしっかりと煙の風味を味わうことができます。

また、長い時間をかけて燻煙する冷燻では、燻煙中にも肉や魚の熟成が進むため、食材そのものの旨みが増します。

このように、生ものに火を通さず旨みを増したい場合や、加熱によって形が崩れてしまうチョコレートなどを燻したい場合には、冷燻法が用いられます。

冷燻で作った燻製品の保存期間

冷燻で作られる燻製品は、食材の4割程度まで水分量が落ちます。よって、正しく作れば1カ月以上保存がきく燻製品を作ることも可能です。

次項からは、熱燻・温燻・冷燻の具体的なやり方をご紹介します。

熱燻のやり方

熱燻と温燻は、燻す温度と時間さえ守れば、基本的な作り方に変わりありません。まずは、熱燻で使用する燻製器と燻煙材をみていきましょう。

使用する燻煙材

熱燻には、スモークチップを使います。

スモークチップは燃えやすく、多量の煙があがるため、素早く仕上げる熱燻に適しています。

注意点は、スモークチップに直接火をつけないこと。

直接火をつければすぐに燃え尽きてしまいますので、スモークチップを入れた受け皿などを加熱し、間接的に発煙させ、燻すようにしましょう。

使用する燻製器

熱燻では、下記のような燻製器が使われます。

  • 段ボール型の燻製器
  • 鍋型の燻製器
  • 箱型の燻製器(木製・金属製)
  • 折りたたみ式の燻製器(金属製)

また、小型鍋・フライパン・中華鍋・段ボールなどを使って、簡易的な燻製器を作ることもできます。

燻製器にスモークチップをセットし、レシピの温度・時間通りで燻煙すれば、燻製の完成です。

温燻のやり方

続いて、温燻で使用する燻煙材と燻製器をご紹介します。

使用する燻煙材

温燻の燻煙材は、初心者であればスモークウッドを、上級者であればスモークウッドとスモークチップを使い分ける方が多い印象です。

初心者にスモークウッドが好まれるのは、手間のかからなさでしょう。

一度火をつけてしまえば、数時間放置していても問題はないうえ、完成品もそれなりに仕上がるからです。

ただし、スモークチップよりも着火しづらい、価格が割高である、完全放置は外気温に影響されやすく再現性が低い、といったデメリットもあります。

さまざまな食材や環境で試しながら、ご自身にあった燻煙材を選んでみてくださいね。

使用する燻製器

温燻で使うのは、下記のような燻製器です。基本的には、熱燻と同じスモーカーを使うことができます。

  • 段ボール型の燻製器
  • 鍋型の燻製器
  • 箱型の燻製器(木製・金属製)
  • 折りたたみ式の燻製器(金属製)

熱燻同様、これらの燻製器に燻煙材をセットし、レシピの温度・時間通りに燻煙すれば、燻製は完成します。

ただし、1人用の土鍋のような、小型の燻製器は使用を避けるのがベターです。

小型の燻製器では、食材と燻煙材との距離がとれず、意図せず熱燻になってしまうおそれがあります。つまり、様子を見たときには炭になっていた、ということも起こりうるのです。

スモークウッドの厚みも考慮しなければならないので、温燻をする際は、それなりの高さや深さがある燻製器を選ぶことをおすすめします。

冷燻のやり方

庫内を低温に保ち、煙を長時間あて続ける冷燻は、熱燻・温燻と作り方が全く異なります。

燻製の3つの調理法のなかで最もレベルが高いとされる、冷燻の作り方をみていきましょう。

使用する燻煙材

冷燻の燻煙材は温燻同様、初心者であればスモークウッドを、上級者であればスモークウッドとスモークチップを使い分ける方が多い印象です。

また、この後ご紹介する燻製器によっても、選ぶ燻煙材は変わってきます。

使用する燻製器

冷燻のやり方は、冷燻専用の燻製器を使う方法と、そうでない方法にわけられます。ここでは、冷燻の方法を3つご紹介します。

スモーキングガン(スモークガン)

家庭で気軽に冷燻を楽しみたいという方には、スモーキングガン(スモークガン)がおすすめです

スモーキングガンとは、冷燻風に仕上げることができる燻製器です。フードスモーカーと呼ばれることもあります。

形状は、高さ10〜20cmほどの筒状の本体に、チューブがついているものが一般的です。

スモーキングガンの使い方は、本体にスモークチップを入れて着火、あがった煙を送風機で本体からチューブに移動させ、チューブの先にある食材にあてるというもの。

10分程度で擬似的に冷燻を作ることができますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

燻煙部をダクトで繋ぐ自作燻製器

屋外で本格的な冷燻を作りたい方は、燻製器2台でスモーキングガンの原理を作りましょう。

今回ご紹介するのは、段ボール燻製器です。

1台目の燻製器には燻煙材を、2台目の燻製器には焼き網の上に食材を置き、燻製器同士をダクトホース(排気ダクト)で繋げれば、冷燻用の燻製器の完成です。

夏季に冷燻を作るのは至難の業ですが、冬季だと意外と簡単に作ることができます。

原理さえわかってしまえば、燻製器作りもそこまで難しくありませんので、気温の低い日にぜひチャレンジしてみてください。

高さ・深さのある燻製器+保冷剤

屋内で本格的な冷燻を作りたい場合は、高さや深さのある燻製器を1つと、保冷剤や氷などを用意します。

燻製器に高さや深さが必要になるのは、燻煙を冷却させる空間を作るためです。

燻製器の構造は、下記のようになります。
(上から順にあらわしています)

  • 食材
  • 【焼き網】
  • 【保冷剤(氷)】
  • 焼き網
  • 燻煙材(スモークチップ・スモークウッド)
  • 受け皿
  • 熱源

熱燻・温燻の燻製器に、冷却のワンクッションが入っているのがおわかりいただけるかと思います。

30分程度の燻製でも、充分美味しい冷燻を作ることができますので、こちらもぜひチャレンジしてみてくださいね。

熱燻・温燻・冷燻の違いを知って燻製作りにいかそう!

燻製の調理法は、燻す温度や時間に応じて熱燻・温燻・冷燻と呼び名を変えます。

書籍等ではよく目にする単語ですので、覚えておいて損はないでしょう。

しかし、定義や作り方を無理に覚える必要はありません。

試行錯誤を繰り返しながら作るのが燻製の醍醐味ですので、皆さんが作りたいものを、楽しみながら作ってみてくださいね!

燻製の基礎知識
この記事を書いた人
こひまる

秋田のすみっこにある燻製工房・燻製屋猫松で、コーチという謎の肩書きで活動する1児の母。燻製にまつわる情報をさまざまなメディアで発信中。美味しいものを食べることが大好きなアクティブ系インドア。

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